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NISAとiDeCoはどっちを利用すべき?違い・使い分けをわかりやすく解説

※本コラムの内容は、弊社の商品の内容を説明するものではありません。

NISAとiDeCoはどっちを利用すべき?違い・使い分けをわかりやすく解説

NISAとiDeCoはいずれも非課税の投資制度ですが、引き出し可能期間や税制優遇面において違いがあります。資産形成の目的や運用方法によって向き不向きがあるため、それぞれの違いを理解することが大切です。

NISAとiDeCoは、それぞれの条件を満たしていれば併用も可能です。それぞれの特徴を活かすと、「NISAで積立投資をしながらiDeCoで老後の資金準備をする」といった運用ができます。

この記事でわかること
  1. NISAとiDeCoの違い
  2. NISAやiDeCo、それぞれのメリットとデメリット
  3. NISAやiDeCoを始める際の注意点
目次

    NISAとiDeCoの基本概要

    NISAとiDeCoは、それぞれ異なる制度です。いずれも長期的な視点で投資を行うことで、資産形成ができます。ここでは、NISAとiDeCoそれぞれの概要を説明します。

    NISAとは:中長期にわたる資産形成を目的とした非課税の投資枠

    NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)とは、投資をして得た利益が非課税になる制度です。通常は投資で利益を得た場合、利益に約20%の課税がされますが、NISA枠の範囲内の投資により得た利益は非課税となります。

    (例)投資で10万円の利益が出た場合

    NISAには年間投資枠上限が120万円の「つみたて投資枠」と、年間投資枠上限が240万円の「成長投資枠」の2種類があります。いずれも2024年から年間投資枠が拡大し、非課税保有期間が無制限になりました(2024年4月時点)。

    つみたて投資枠は長期・積立・分散投資に特化しているため初心者向け、成長投資枠は成長性の高い商品への投資も可能で、ある程度投資経験がある方向けといわれています。

    iDeCoとは:老後資金づくりを目的とした年金制度

    iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、自分が拠出した掛金を自分で運用し、資産を形成する年金制度です。掛金は65歳になるまで拠出可能で、原則60歳から老齢給付金を受け取れます。

    iDeCoもNISAと同様に運用益が非課税になります。さらに、掛金が全額所得控除の対象となり、所得税と住民税の節税効果が得られるのがメリットです。国民年金の加入区分に応じて拠出できる掛金の上限が異なり、最大で年間81.6万円となります。iDeCoは月々5,000円から始められ、掛金額を1,000円単位で自由に設定できます。

    NISAとiDeCoを比較しよう

    NISAとiDeCoには、以下のような共通点と違いがあります。

    共通点と違い

    共通点:運用して得た利益が非課税になる

    NISAとiDeCoはいずれも、運用益が非課税になるというメリットがあります。

    「非課税になる」とは、特定の税制上の優遇措置により対象となる所得や資産に対して税金が課されない状態です。例えば、NISAやiDeCoで月々1万円を積み立て年利5%で運用した場合、1年後に得られる利益は約3,000円です。通常であればこの3,000円に対して約20%の税金が課されますが、NISAやiDeCoでは非課税となるため、3,000円全額を受け取れます。

    このように運用益が非課税になることで、受け取れる金額が通常の投資よりも多いという特徴があります。

    違い1:引き出し可能期間

    NISAは積み立ててからいつでも引き出し可能ですが、iDeCoは原則60歳以降でなければ引き出しできません。

    NISAは短期的な資金ニーズにも対応できます。例えば急な出費が発生した場合、積み立てた金額から引き出すことが可能です。結婚や出産、マイホームの購入や子どもの教育費など、60歳前のライフイベントや大きな出費に向けて資産形成することに向いているでしょう。

    一方iDeCoは原則60歳以降しか引き出せないため、もし60歳を前にして急な出費が発生して「引き出したい」と思っても引き出せないのが特徴です。

    違い2:税制優遇

    NISAは運用益が非課税になり、iDeCoは運用益が非課税になるだけでなく全額所得控除になるという違いがあります。iDeCoのほうが税制優遇の範囲が広いといえるでしょう。

    例えば月々の掛金が1万円の場合、所得税(10%)、住民税(10%)とすると年間12万円の所得を控除することができるため、年間2.4万円税金が軽減されます。

    また、iDeCoは年金または一時金から受取方法を選択でき、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象になります。

    違い3:掛金の大きさ(年間掛金上限)

    NISAとiDeCoは、年間で投資できる金額が異なります。

    NISAは年間掛金上限が、つみたて投資枠の場合は120万円、成長投資枠の場合は240万円です。iDeCoは年間掛金上限が最大81.6万円で、加入区分によって掛金の上限が異なります。

    2024年時点のNISAでは、生涯を通じての非課税保有限度額が新たに設けられ、1,800万円が上限となっています。上限は1,800万円ですが、成長投資枠の上限はそのうち1,200万円です。2023年までのNISAでの保有額は、2024年からのNISAの非課税保有限度額(総枠)の1,800万円の外枠で管理されます。

    NISAのメリット・デメリット

    NISAを始める際は、メリットとデメリットを把握しておきましょう。

    NISAのメリット

    • いつでも引き出せる
    • 月々最低100円から投資可能
    • 非課税枠内で運用益が非課税
    • 投資対象の選択肢が多い

    NISAはiDeCoと異なり、いつでも引き出しできます。金融機関によって異なりますが、月々最低100円から投資できるため投資初心者の方でも始めやすいのが特徴です。

    NISAのデメリット

    • 運用結果は自己責任

    投資全般にいえることですが、NISAで投資したからといって必ずしも利益が発生するとは限りません。運用結果は自己責任です。

    iDeCoのメリット・デメリット

    ここでは、iDeCoのメリットとデメリットを説明します。

    iDeCoのメリット

    • 節税効果が大きい
    • 老後に備えられる

    iDeCoは「掛金が全額所得控除になる」「公的年金等控除、退職所得控除の対象となる」といった税制優遇面のメリットがあり、節税効果が大きいという特徴があります。原則60歳まで引き出しができないため、積み立て中にお金をほかの用途に使うことがなく、老後に備えやすいのがメリットです。

    iDeCoのデメリット

    • 原則60歳まで引き出しができない
    • 運用結果は自己責任
    • 手数料がかかる

    iDeCoは税制優遇のメリットがある反面、原則60歳まで引き出しができません。60歳を迎えるまでの大きな出費に備えられないのがデメリットのひとつです。

    また、iDeCoは加入時の手数料や加入後の口座管理手数料などが発生します。手数料は金融機関によって異なるため、口座開設前に確認しておきましょう。

    NISAとiDeCoのどっちを始めればいい?

    NISA(つみたて投資枠・成長投資枠)とiDeCo、どちらを始めるべきか迷う方もいるかもしれません。ここでは、それぞれがどのような方に向いているかを説明します。

    中長期的な資産形成をしたいなら、NISAのつみたて投資枠がおすすめ

    NISAのつみたて投資枠は、自分のペースで資産形成を進めたい投資初心者の方におすすめです。

    つみたて投資枠は、対象商品が長期の積立や分散投資に適した投資信託に限定されています。そのため、リスクを極力避けながら資産形成したい方に向いています。

    老後の資金準備のような長期的な目的以外にも、短期的な資金ニーズにも対応できるのがメリットです。

    一括投資や株式投資をしたいなら、NISAの成長投資枠がおすすめ

    一括投資や株式投資をしたい方は、NISAの成長投資枠がおすすめです。成長投資枠はつみたて投資枠とは異なり、まとまった資金で一括投資することが可能です。

    また、つみたて投資枠では投資信託しか購入できませんが、成長投資枠では株式も購入できます。また、短期的な資産運用にも使えるのがメリットです。

    成長投資枠で株式投資を行う場合、高いリターンが期待できる一方で、リスクが高く商品選びが難しい傾向があります。そのため、ある程度投資の知識を持つ方におすすめです。

    老後の資金準備を優先したいなら、iDeCoがおすすめ

    iDeCoは掛金が全額所得控除となり、節税効果が大きい点が特徴です。老後の資金準備に特化しており、60歳まで引き出せないという特徴があるため、老後の資金に備えたい方におすすめです。

    iDeCoは60歳まで引き出せないため、短期的な資金ニーズには対応できません。しかし、早い段階からiDeCoに加入することで、節税効果を最大限に活用できるでしょう。

    収入のない方(無職の方や専業主婦・主夫)や所得が一定金額以下の方は、所得税や住民税を払っていないため、所得控除のメリットを受けられない点に注意しましょう。

    NISAとiDeCoは併用もできる!

    NISAとiDeCoは、それぞれの加入条件を満たしていれば併用することも可能です。NISAで積立投資を行い、iDeCoで老後の資金準備をするなど、それぞれのメリットを活かした運用も考えられるでしょう。

    NISAとiDeCoの併用は、目的に応じて加入する制度を選ぶことが大切です。例えば「まとまった資金を一括で運用しながら、老後に向けてお金をふやしたい」という方は、NISA(成長投資枠)とiDeCoを活用するのがおすすめです。

    「まとまった資金の投資は難しいが、将来に向けて非課税制度を活用し、コツコツ積み立てたい」という方は、NISA(つみたて投資枠)とiDeCoを活用するとよいでしょう。

    NISAやiDeCoで資産形成をする際の注意点

    NISAやiDeCoで資産形成をする際は、以下の点に注意しましょう。

    • 投資や資産形成に関する勉強が必要
    • 元本割れのリスクを理解する
    • 長期的な目線で運用する
    • 手数料がかかる

    投資や資産形成に関する勉強が必要

    NISAとiDeCoは、個人が自らの資産を管理し、運用するための制度です。

    投資にはリスクが伴います。そのため、これらの制度を利用して資産形成を行う前に投資に関する基本的な知識を身に付けることが重要です。株式や債券、投資信託などの投資商品、リスク管理について理解して投資を始めましょう。

    元本割れのリスクを理解する

    NISAやiDeCoは長期的な資産形成を目指す制度ですが、その一方で元本割れのリスクがあります。

    元本割れとは、投資した金額よりも運用結果が下回った状態を指します。株式や債券などの投資対象は市場価格の変動に影響を受けるため、利益が出ることが確約されているわけではありません。

    投資先を選ぶ際にはリスクを十分に理解し、自身のリスク許容度に合った選択を行う必要があります。

    長期的な目線で運用する

    NISAとiDeCoは税制優遇を受けられる長期的な資産形成を支援する制度であるため、いずれも長期的な視点で投資することが重要です。NISAで資産形成がうまくいかないからといって元本割れしている時期に売却すると、その後相場価格が戻った場合に、損をするケースもあります。

    投資は短期間で成果を判断するのが難しいものです。短期的な値動きに惑わされず、長期的な目線で資産形成を進めましょう。

    手数料がかかる

    NISAとiDeCoで取り引きをする際には、手数料がかかることを理解しましょう。

    手数料は、金融機関によって異なります。手数料を比較し、自分に合った手数料設定の制度や商品を選択することが大切です。

    特にiDeCoは、加入時の手数料や運用時の月々の手数料、口座管理料や受取時の手数料などさまざまな手数料がかかります。手数料を抑えやすい金融機関で口座を開設するなど、事前に調べたうえで始めることをおすすめします。

    よくある質問

    NISAとiDeCoの違いをわかりやすく教えてください

    どちらも資産形成に役立つ制度です。NISAは中長期的な資産形成のための投資制度であり、iDeCoは個人の老後資金の準備を支援する年金制度です。

    NISA(つみたて投資枠)とiDeCoはどちらがおすすめですか?

    少額の積立投資から始めたい場合はNISA(つみたて投資枠)が向いているでしょう。安定した収入があり、将来の年金受給に備えて資金を積み立てたい場合はiDeCoがおすすめです。

    NISA(つみたて投資枠)とiDeCoをどっちも始めることはできますか?

    NISA(つみたて投資枠)とiDeCoは、それぞれの加入条件を満たしていれば併用することも可能です。

    専業主婦・主夫はNISA(つみたて投資枠)とiDeCoのどちらが向いていますか?

    NISA(つみたて投資枠)は少額から積立投資ができるため、収入が不安定な専業主婦・主夫にも負担なく始めやすいというメリットがあります。
    小宮 崇之
    CFP®(公認ファイナンシャルプランナー) / TLC(生命保険協会認定FP) / 損害保険プランナー / 証券外務員一種 / 日商簿記検定2級
    小宮 崇之(こみや たかし)
    大学卒業後、信用金庫に入社。中立的な立場でお客様目線の営業をしたいという思いから、保険代理店として独立を決意。保険会社の代理店営業職、保険会社の研修生を経て2020年9月に保険代理店を設立。
    保険代理店の実務経験を生かして、執筆業や講師業も行う。
    スマホで借りて、スマホで返す ORIX MONEY