証券担保ローンとは?メリット・デメリット、効果的な活用シーンを紹介
※本コラムの内容は、弊社の商品の内容を説明するものではありません。
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証券担保ローンとは、有価証券を担保にして資金を借り入れるローンのことです。国内の有価証券や外国株式などを担保にし、担保にした有価証券の時価評価額に応じて借りられる金額が決まります。
証券担保ローンは有価証券を売却せずに資金を調達でき、カードローンと比べて金利が低めといったメリットがあります。一方で価値が暴落すると強制的に売却されるといったリスクもあるため、デメリットを理解して申し込むことが大切です。
- 証券担保ローンのメリットとデメリット
- 証券担保ローンを利用する際の流れ
- 証券担保ローンの選び方
証券担保ローン:有価証券を担保にして資金を借り入れるローン
証券担保ローンは、保有している有価証券(株式、債券、投資信託など)を担保にして資金を借り入れるローンです。担保にした有価証券の時価評価額に応じて、借りられる金額が決まります。
証券担保ローンの借入額は、「有価証券の時価評価額の50%〜70%」のように一定割合に設定されていることが一般的です。有価証券の時価評価額が下落した場合、追加の担保を要求されたり、返済を求められたりすることがあります。
証券担保ローンの担保に利用できる有価証券の種類には、国内上場株式や外国株式、米国国債などがあります。金融機関によって担保として受け入れられる有価証券の種類が異なるため、金融機関のWEBサイトで確認しましょう。
証券担保ローンのメリット
証券担保ローンには、以下のようなメリットがあります。
有価証券を売却せずに資金を調達できる
証券担保ローンは、保有している株式や債券などを売却せず、それを担保として資金を借り入れることができます。有価証券の時価評価額が将来上昇することを期待して保持しながら、現金が必要な際に資金を調達することが可能です。
また、証券担保ローンを借り入れている間も、担保にしている有価証券からの配当金や利息・利子、株主優待を引き続き受け取れます。
有価証券の時価評価額によっては高額の融資が受けられる
カードローンなどの金融商品では、収入によって借りられる金額の上限が決まっている場合があります。
しかし証券担保ローンは、有価証券に高い評価額を得られれば、その評価額に応じた融資が受けられます。場合によっては、高額の融資が受けられる可能性があるといえるでしょう。
柔軟な資金使途に使える
証券担保ローンで借り入れた資金の使い道は原則自由です(一部自社商品の購入等に制限を設けている金融機関があります)。投資資金や生活費、ビジネス資金などさまざまな資金使途に利用できます。
ブライダルローンや医療ローンといった目的別ローンは、結婚資金や医療費など特定の資金使途でしか利用できません。しかし、証券担保ローンであれば別の投資や運用に充てることも可能です。
カードローンと比べて金利が低い
証券担保ローンはカードローンと比べて金利が低い傾向があります。金融機関によって違いはありますが、1〜4%台である場合がほとんどのようです。
カードローンの場合、金融機関や借入額によって異なりますが、金利が15%前後になることも珍しくありません。証券担保ローンは金利が低い傾向にあるため、支払総額を抑えやすいというメリットがあります。
証券担保ローンのデメリット
証券担保ローンには、以下のようなデメリットがある点に注意しましょう。
- 有価証券の時価評価額が下がると追加担保の差し入れを求められる
- 有価証券の時価評価額が暴落すると強制的に売却され返済に充てられる
- 借入可能額の制約がある
証券価格が下がると追加担保の差し入れを求められる
証券担保ローンには、担保不足のリスクがあります。担保不足とは、担保にしている有価証券の時価評価額が、融資残高に対して一定の割合を下回る状態のことです。
有価証券の時価評価額が下落して担保としての価値が下がると、一部または全部の出金、株式の振替ができなくなる可能性があります。さらに時価評価額が下がった場合は、追加担保の差入れまたは借入額の一部返済が必要です。
価値が暴落すると強制的に売却され返済に充てられる
担保にしている有価証券の時価評価額が下がり続けると、金融機関が有価証券を強制的に売却してローンの返済に充てることがあります。担保の追加差し入れでは賄えない激しい暴落の場合は、強制的に売却される可能性があるため注意が必要です。
強制的に売却された場合、計画していないタイミングで有価証券を売却することになります。証券担保ローンを借り入れる際は、有価証券の時価評価額の変動によって強制売却のリスクがあることを理解したうえで申し込みましょう。
借入可能額の制約がある
証券担保ローンは高額な融資を受けられる可能性はあるものの、有価証券の種類によっては借入可能額の制約が設けられています。
例えば、「この有価証券は何%」のように、あらかじめ有価証券の時価評価額に対する借入可能額の割合が決められている場合があります。条件は金融機関によってさまざまです。
有価証券の種類や金融機関が定める条件によっては、十分な資金を借り入れられないかもしれません。証券担保ローンを申し込む前に、金融機関ごとに条件を確認しましょう。
証券担保ローンの活用シーン
証券担保ローンの活用術や利用シーンは、個人の資産運用や資金ニーズに応じてさまざまです。ここでは、具体的な活用方法や利用シーンを説明します。
急な資金ニーズに利用する
突然の出費や緊急の資金ニーズが生じた場合、証券担保ローンを活用すれば有価証券を売却せずにスムーズに現金を調達できます。資産を保持しつつ、必要な資金を得られるのがメリットです。
所得税や固定資産税、子どもの学費や冠婚葬祭の資金など、まとまった資金が必要となった場合に利用できます。
追加投資のための資金調達に使う
有望な投資案件や急な株式購入の機会に対応するために、保有している有価証券を担保に資金を調達し、さらに投資を行うという方法です。これにより、手元資金を効率的に活用できます。
証券担保ローンを利用して追加資金を調達し、その資金をほかの投資に充てることで投資のレバレッジ効果を高めることができます。
リスク管理に使う
証券担保ローンは、資産運用におけるリスク管理に使うという方法もあります。有価証券の売却による資産配分の変更を避けたい場合、証券担保ローンを利用して現金を調達し、ほかの資産運用行うことが可能です。
有価証券の価格が下落してもすぐに売却したくない場合、証券担保ローンを利用すれば一時的に資金を得られる可能性があります。相場が回復するまで待って運用するのもひとつの方法です。
税務上の利益確定の繰り延べに使う
証券を売却すると、譲渡益に対して所得税が発生します。しかし、証券担保ローンを利用すれば、資産を売却せずに資金を得ることが可能です。税務上の利益確定を繰り延べできます。
証券担保ローンの利用の流れ
ここでは、証券担保ローンを利用する際の一般的な流れを説明します。
1. 金融機関を選ぶ
まずは証券担保ローンを提供している金融機関を選びます。金融機関の条件を比較して、自分に合ったものを選びましょう。
2. 申し込み
借入額や有価証券の詳細を記入した申込書を提出し、必要書類を揃えます。金融機関のWEBサイトで必要な書類を確認しましょう。
3. 審査
金融機関が、有価証券の時価評価額や申込者の返済能力を審査します。
4. 契約
金融機関からの審査結果を待ちます。審査が通れば契約書に署名し、有価証券に担保権を設定します。
5. 資金の受け取り
契約が完了すると、借入金が口座に振り込まれます。
6. 返済
計画に従って返済を進め、完済すると担保が解除されます。
融資が実行されるまでは、数日〜1週間ほどかかることが一般的です。
証券担保ローンの選び方
証券担保ローンはさまざまな金融機関が提供しているため、「どうやって選ぶべきか」と悩む方もいるかもしれません。ここでは、証券担保ローンの選び方の例を紹介します。
担保にできる有価証券の種類
証券担保ローンは、金融機関によって担保として受け入れる有価証券の種類が異なります。「自分が保有している有価証券を担保にできるか」を確認するとよいでしょう。
株式や債券、投資信託などさまざまな証券を担保にできる金融機関を選ぶと、担保とする対象の選択肢が増えます。
借入可能額の大きさ
証券担保ローンでは、担保とする有価証券の時価評価額に対する借入可能額の割合が決まっています。一般的な借入可能額の割合は、有価証券の時価評価額の50%~80%です。高い借入可能額の割合を提供する金融機関を選ぶと、必要な資金を効率的に借りられます。
証券担保ローンを借り入れる際は、借入可能額の上限額も確認しましょう。証券担保ローンによってさまざまですが、数十万円〜数億円まで借りられることが多いです。
ローンを借り入れる際は、自分の資金ニーズに合った金額を提供しているかを確認することが大切です。借り入れられる金額が少ない場合は、ほかの金融機関も検討してみましょう。
金利の低さ
証券担保ローンを借り入れる際は、金利を確認しましょう。複数の金融機関の金利を比較し、できるだけ低い金利で借りられるところを選ぶのがおすすめです。
金利の平均はおおよそ1%〜4%です。金利が低いほうが、支払総額を抑えやすくなります。
証券担保ローン以外での資金調達手段
借り入れの手段には、証券担保ローン以外にもさまざまな手段があります。ローンの種類によって資金使途や特徴が異なるため、自分に合った手段を選ぶことが大切です。
ローンの種類 |
証券担保 ローン |
ビジネス ローン |
不動産担保 ローン |
消費者金融・信販系カードローン |
---|---|---|---|---|
概要 | 有価証券を担保としたローン。資金使途は原則自由。 | 事業資金を資金使途としたローン | 不動産を担保としたローン。資金使途は原則自由。 | 個人向け無担保ローン。資金使途は原則自由。 |
金利 |
低め (1%~4%程度) |
比較的高め (3%~15%程度) |
低め (2.7%〜10.0%程度) |
比較的高め (3%~18%程度) |
利用対象 | 個人、法人 | 法人、個人事業主 | 個人、法人 | 個人 |
返済期間 | 自由 |
短期から中期 (1~5年) |
長期 (10~30年程度) |
短期~中期 (1~5年) |
借入可能額 | 数十万円~数億万円 | 数十万円~数千万円 | 数百万円~数億円 | 数万円~数百万円 |
担保 | 有価証券(株式、債券など) | 無担保が多い | 不動産 | 無担保 |
ビジネスローン
ビジネスローンは、事業者向けに提供されるローンです。事業の運転資金や設備投資などに利用されます。
証券担保ローンや不動産担保ローンとは違って、担保が不要であることが一般的です。一方で金利が3〜15%程度と高めであるという特徴があります。
不動産担保ローン
不動産担保ローンは、不動産を担保にして資金を借りるローンです。個人でも法人でも利用でき、不動産の評価額に応じて大きな資金を調達することが可能です。
担保があるため、金利は低めに設定されていることが多いです。一般的に資金使途の制限はなく、使い道は自由です。
カードローン
カードローンは個人向けの無担保ローンで、借入可能額の範囲内で繰り返し借り入れができる便利なローンです。
担保がなく、手軽に利用できる一方で、金利は高めに設定されています。資金使途の制限は設けられていないため、使い道は自由です。
よくある質問
証券担保ローンとは何ですか?
有価証券を売却せずに資金調達が可能で、有価証券の時価評価額に一定の率を掛けて借入額が決まります。資金使途は原則自由で、急な資金ニーズにも対応できます。
証券担保ローンのデメリットは何ですか?
証券担保ローンではいくら借りられますか?
具体的な借入額は金融機関によって異なるため、金融機関のWEBサイトで確認してみてください。
証券担保ローンではいくらから借りられますか?
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