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不動産担保ローンとは?申し込みから融資までの流れや審査基準を解説

※本コラムの内容は、弊社の商品の内容を説明するものではありません。

不動産担保ローンとは?申し込みから融資まで

不動産担保ローンとは、不動産を担保にして金融機関から融資を受けるローンです。土地、戸建て住宅、区分マンションなどの不動産を担保として提供し、資金を借り入れます。

不動産担保ローンは、無担保ローンより金利が低い傾向があります。一方で、「申し込みの手続きが煩雑」「融資までに時間がかかる」といったデメリットもあります。ローンを申し込む際は特徴を理解して、自分にあったものを選ぶことが大切です。

この記事でわかること
  1. 不動産担保ローンのメリットとデメリット
  2. 不動産担保ローンを借り入れるまでの流れ
  3. 不動産担保ローンの選び方
目次

    不動産担保ローンとは:不動産を担保に融資を受けるローン

    不動産担保ローンとは、不動産を担保にして金融機関から融資を受けるローンです。土地、戸建て住宅、区分マンションなどの不動産を担保にします。

    不動産担保ローンの仕組み

    不動産担保ローンは不動産の価値に応じてまとまった資金を借り入れ、返済期間と回数を設定して月々一定の金額を返済していきます。返済が滞ると、担保に提供した不動産が差し押さえられるため、返済計画をしっかりと立てることが重要です。

    担保にする不動産の価値は、融資額の上限を決定する重要な要素のひとつです。不動産担保ローンは、住宅ローン返済中の物件も担保として提供できる場合があります。

    特徴1:資金使途が自由

    不動産担保ローンは申込時に資金使途を伝える必要がありますが、原則として資金使途に制限はありません。

    例えば、住宅ローンの場合、不動産の購入やリフォームなど資金使途が限られています。一方、不動産担保ローンでは不動産の購入やリフォームといった資金使途だけでなく、事業資金、入学金や授業料などの教育資金、医療費や冠婚葬祭の資金など、さまざまな目的に利用できます。

    特徴2:借り換え・おまとめローンとしても利用可能

    不動産担保ローンは他社からの借り換え、おまとめローンにも適しています。

    借り換えとおまとめローンの違い

    複数社から借り入れを行っている場合は月々の返済日がそれぞれ別になり、「どこに・いつ・いくら返済するのか」の管理が煩雑になります。しかし、借入先を一つにまとめれば、返済管理が楽になるでしょう。借入先を一つにまとめたり、借り換えたりすることで、適用金利が低くなる可能性もあります。

    特徴3:契約者本人だけでなく家族の不動産も担保提供できる場合がある

    不動産担保ローンは契約する本人に限らず、家族が保有する不動産の担保提供も可能な場合があります。

    例えば家族が不動産を持っている場合、それを担保としてお金を借りられます。担保提供者は原則、連帯保証人となることが一般的です。

    不動産担保ローンのメリット

    不動産担保ローンには以下のようなメリットがあります。

    • 無担保ローンより金利が低い傾向がある
    • 不動産の価値に応じて高額借入ができる
    • 返済期間が長い

    無担保ローンより金利が低い傾向がある

    不動産担保ローンは、無担保ローンより金利が低い傾向があります。担保があることで、金融機関の貸し倒れのリスクが低減されるためです。

    例えば無担保のカードローンの場合は借入可能額に応じて最大18.0%ほどの金利になりますが、不動産担保ローンはそれよりも低い場合が一般的です。金利が低ければ、支払総額を抑えやすくなるという特徴があります。

    不動産の価値に応じて高額借入ができる

    不動産担保ローンの場合、不動産の価値に応じて大口の融資を受けることが可能です。無担保ローンの融資限度額は高くても数百万円のものがよく見受けられます。一方、不動産担保ローンは担保を提供することで借り手の信用力が補完され、通常の無担保ローンでは借りられない金額の融資が受けやすくなります。

    担保を提供することにより、住宅の購入や大規模なリフォーム、事業資金など多額の資金が必要な場面で利用できるのがメリットです。

    返済期間が長い

    不動産担保ローンは返済期間が長く設定されることが一般的で、通常20〜30年程度の長期間にわたる返済計画が組めます。その結果、月々の返済額を低く抑えやすい点がメリットです。

    無担保のローンでは、返済期間が10年前後のところが多くあります。返済期間が短ければ月々の返済額が高くなる傾向があります。

    不動産担保ローンのデメリット

    不動産担保ローンには、以下のようなデメリットもあります。

    • 返済不能時に担保が差し押さえられるリスクがある
    • 申し込みの手続きが複雑
    • 融資までに時間がかかる

    返済不能時に担保が差し押さえられるリスクがある

    不動産担保ローンは、不動産を担保にすることで借り入れられます。もし返済が滞った場合は、担保として提供する不動産が差し押さえられるリスクがあります。自宅や土地などを失う可能性があるため、返済計画を慎重に立てることが重要です。

    また、不動産担保ローンに限った話ではありませんが、返済が滞った場合は信用情報に悪影響を及ぼす可能性があります。返済の遅延により、将来融資を受けるのが難しくなることがあります。

    申し込みの手続きが複雑

    不動産担保ローンの申し込みには、不動産登記簿謄本や収入証明書類などの書類が必要です。そのため申し込みの準備が複雑に感じることがあるかもしれません。

    書類を揃えるのに時間や費用がかかったり、契約時に手数料が必要になったりするケースもあります。必要な書類や手数料を事前に確認し、余裕を持って準備することが大切です。

    融資までに時間がかかる

    不動産担保ローンは査定や審査に時間がかかることが多く、申し込みから借り入れまでに3週間〜1カ月ほどかかるのが一般的です。申込状況や担保物件によっては1カ月以上かかることもあります。

    無担保ローンのカードローンは審査が数分で完了して、最短当日で融資を受けられることもあります。融資を受ける際はニーズにあわせて商品を選び、不動産担保ローンを選ぶ際は期間に余裕を持って申し込みましょう。

    不動産担保ローンの申し込み〜融資の流れ

    ここでは、不動産担保ローンを利用する際の一般的な流れを説明します。

    1. 仮審査の申し込み

    不動産担保ローンを利用する場合は、金融機関やローンの種類について情報を収集して自分にあったローンを探しましょう。借入先を決めたら、仮審査の申し込みを行います。

    仮審査の申し込みはWEBからできることが多いです。必要情報を不備なく入力して送信しましょう。

    2. 仮審査結果の通知

    入力内容をもとに仮審査が行われます。仮審査の結果は当日〜3営業日前後で完了することが一般的です。

    一般的には登録したメールアドレスに結果が届きます。仮審査に通過したら本審査に進みます。

    3. 本審査の申し込み・必要書類の提出

    本審査を申し込むために、必要書類を準備しましょう。必要書類は金融機関によって異なる場合があるため、事前に確認してください。スムーズに審査を行うためにも、書類に不備がないように準備することが重要です。

    本審査に必要な書類の例

    • 不動産の登記簿謄本
    • 固定資産評価証明書
    • 収入証明書類
      (給与明細、確定申告書など)
    • 本人確認書類
      (運転免許証、パスポートなど)

    法人と個人でも必要書類が異なる場合があるため、必要な書類を確認しましょう。本審査では、提出された書類を基に審査を行います。担保にする不動産の価値や借り手の信用情報、収入状況などが評価されるため、正しい情報を提出することが大切です。

    4. 本審査結果の通知・契約

    本審査が完了すると、金融機関は融資の可否を決定して結果を通知します。承認された場合、具体的な融資条件(融資額、金利、返済期間など)が表示されます。

    融資条件に同意したら、ローン契約書を締結しましょう。この際に契約内容をよく確認してから署名するようにしてください。

    契約時に登記費用や手数料などが発生することがあります。あらかじめWEBサイトなどで手数料を確認しておくと安心です。

    5. 融資

    契約と担保設定が完了したあと、指定の口座に融資金が振り込まれます。この段階で、借り手は実際に資金を受け取れるようになります。

    融資金の受け取り後は、契約で定められたスケジュールに従って返済しましょう。毎月一定の金額を返済していきます。

    不動産担保ローンの審査基準

    不動産担保ローンでは、申込者の信用力や返済能力、担保とする不動産の価値を総合的に評価することで融資の可否や金額が決定されます。ここでは、不動産担保ローンの審査基準を説明します。

    安定した収入と返済能力があるか

    不動産担保ローンを借りるためには、申込者が安定した収入源を持っていることが重要です。勤続年数が長く、収入が安定している場合は「返済能力がある」と判断されやすいと考えられています。審査では、申込者の返済能力を判断するために給与明細や源泉徴収票、確定申告書などを確認されます。

    返済能力を判断するうえで、「ほかに借り入れがあるか」「いくらの借り入れがあるか」も重要です。収入に対して過度な借り入れがある場合、審査が通らない可能性が高くなります。

    信用情報は良好か

    審査では、信用情報機関(CIC、JICC、KSCなど)に登録されている信用情報をチェックされます。信用情報とは、クレジットカードやローンの申込履歴、支払いや返済の遅延履歴などのことです。信用情報機関は消費者と金融機関の健全な信用取引を支えるために、加盟する金融機関から登録されるクレジットやローンに関する信用情報を扱っています。

    審査に通過するには、過去の支払遅延や債務整理の履歴がないことが重要です。日頃からクレジットカードやローンの支払いを遅延しないように心がけましょう。

    担保の価値はどのくらいか

    審査では、担保とする不動産の市場価値を査定されます。不動産の所在地や土地の広さ、建物の状態などが評価基準です。

    審査では、「担保不動産に既に設定されている抵当権がないか」「ほかのローンの担保になっていないか」を確認されます。そのため審査では、不動産の所在地、面積、建物構造、権利関係を確認するための登記簿謄本の提出が必要になります。

    資金使途は何か

    審査では、住宅購入やリフォーム、事業資金など具体的な資金使途を確認されます。資金使途が明確で合理的である場合は、審査で有利になるかもしれません。

    資金使途に応じて、その使途を証明する関連書類を提出します。資金使途がリフォームや事業資金である場合、見積書や契約書などを提出できるようにしておくとよいでしょう。

    不動産担保ローンの利用が向いている人

    不動産担保ローンの利用は、以下のような方が向いています。

  1. 担保となる不動産を持っている人
  2. 利息負担を抑えたい人
  3. 長期間にわたって返済したい人
  4. 借り入れを急いでいない人
  5. 不動産担保ローンは、借り手が不動産を所有していることが前提です。不動産を担保にすることで、低金利での借り入れができます。長期間の返済計画がある場合は金利の低さは大きなメリットとなるため、不動産担保ローンは利息負担を抑えたい方におすすめです。

    また、不動産担保ローンは長期返済が可能で、融資までの時間がかかるといった特徴があります。10年から30年といった長期にわたる返済計画を立てたい方や借り入れを急いでいない方は、不動産担保ローンが向いているといえるでしょう。

    不動産担保ローンの選び方

    不動産担保ローンをどのように選ぶべきか迷った方は、以下の点を基準に選ぶようにしてみてください。

    金利

    不動産担保ローンを選ぶ際は、金利に着目しましょう。金利は金融機関によって異なるため、複数の金融機関の金利を比較して最も有利な条件を見つけるのがおすすめです。

    不動産担保ローンには、固定金利と変動金利があります。固定金利は返済期間中、金利が一定であるため、月々の返済額が安定しています。金利変動のリスクを避けたい場合に適しているといえるでしょう。

    一方変動金利は、市場の金利動向に応じて金利が変動します。初期の金利が低かったとしても、金利が上昇するリスクがある点に注意してください。

    返済期間

    不動産担保ローンの返済期間は、金融機関によってさまざまです。返済期間を比較し、自分の収入と支出に合った返済期間を選ぶとよいでしょう。

    長期間にわたって無理なく返済したいなら、返済期間が長いものを選ぶのもひとつの方法です。

    手数料や諸費用

    不動産担保ローンは、申込時や契約時、返済時に手数料や諸費用がかかる場合があります。申し込む前に、ローン申込手数料や保証料、繰り上げ返済手数料などの金額を確認しておきましょう。

    登記費用や融資手数料、火災保険料などの諸費用も含めて総費用を把握しておくと、事前に必要な諸費用がわかって安心です。

    担保なしで、できるだけ早くお金を借りたいならカードローン

    不動産担保ローンは無担保ローンと比べると金利が低いといったメリットがあるものの、審査に時間がかかる傾向があります。数日以内にお金が必要な緊急性の高いときは、カードローンが向いているでしょう。

    不動産担保ローンとカードローンには、以下のような違いがあります。

    項目 不動産担保ローン カードローン
    担保 不動産 不要
    融資額 数百万〜数千万円 数十万〜数百万円
    金利 カードローンより低い傾向 不動産担保ローンより高い傾向
    返済期間 10〜30年程度 数年〜10年程度
    審査基準 担保(不動産)の評価額
    返済能力
    信用情報
    返済能力
    信用情報
    利用目的 住宅購入
    リフォーム
    事業資金など
    高額資金が必要な場合
    少額資金が必要な場合など
    使途は自由
    融資までに
    かかる時間
    長い
    (数週間〜数カ月)
    短い
    (申込当日〜数日)
    必要書類 登記簿謄本
    固定資産評価証明書
    収入証明書類
    本人確認書類など
    本人確認書類
    (金額によっては
    収入証明書類)

    不動産担保ローンは高額な資金調達や長期的な資金計画に適しており、無担保ローンより低金利で借り入れることができますが、手続きが複雑で時間がかかる傾向があります。一方のカードローンは無担保で手軽に利用できるため、手続きにかかる時間を短くしたい場合や短期間の資金調達に適しています。ただし有担保ローンよりも金利が高めに設定されている点がデメリットです。

    利用目的や金額に応じて、どちらのローンが適しているかを検討することが重要です。

    よくある質問

    不動産担保型ローンとは何ですか?

    不動産担保型ローンは、不動産を担保にして資金を借りるローンのことです。担保として提供する不動産の評価額に基づいて、比較的高額な融資を無担保ローンよりも低金利で受けることができます。

    不動産担保ローンの審査は厳しいですか?

    不動産担保ローンの審査が厳しいかどうかは、一概にはいえません。収入の安定性や信用情報、担保不動産の評価など、複数の要素が審査の対象となります。

    住宅ローンを借りていても不動産担保ローンで融資を受けられますか?

    金融機関によっては、住宅ローンを借りていても不動産担保ローンで融資を受けることは可能です。ただし、すでに契約している住宅ローンの借入残高や返済能力、担保不動産の評価額などが考慮されます。

    不動産担保ローンではいくら借りられますか?

    金融機関によって審査の判断基準が異なるため、一概にはいえません。一般的に不動産担保ローンの借入可能額は、担保となる不動産評価額の6~8割程度といわれています。

    契約者本人以外の所有不動産を担保にして融資を受けられますか?

    場合によっては可能です。ただし、不動産の所有者は融資の物上保証人や連帯保証人になることを求められます。
    小宮 崇之
    CFP®(公認ファイナンシャルプランナー) / TLC(生命保険協会認定FP) / 損害保険プランナー / 証券外務員一種 / 日商簿記検定2級
    小宮 崇之(こみや たかし)
    大学卒業後、信用金庫に入社。中立的な立場でお客様目線の営業をしたいという思いから、保険代理店として独立を決意。保険会社の代理店営業職、保険会社の研修生を経て2020年9月に保険代理店を設立。
    保険代理店の実務経験を生かして、執筆業や講師業も行う。
    スマホで借りて、スマホで返す ORIX MONEY